映像翻訳者になるには?
「映像翻訳とは?」
映像翻訳とは諸外国語の映画、ドラマなどを日本語に翻訳する作業で、字幕翻訳・吹替翻訳・ボイスオーバー翻訳の3種に分かれます。
スカパー!など衛星放送の普及、多チャンネル化、インターネットの普及により、映像翻訳者の活躍の場は大きく広がりました。
まずイメージされる映画やドラマだけではなく、ドキュメンタリー、スポーツや料理番組などの情報系、企業のIR情報やニュースなど、あらゆる場面で字幕や吹替という日本語版が制作されています。
英語だけでなく中国語や韓国語、ヨーロッパ言語など他言語の需要も高まっており、優秀な人材は常に不足しているというのが現状です。
映像翻訳者は人気の職業で、専門のスクールに通う志望者もたくさんいますが、プロの現場に通用するレベルの人はほんの一握りです。
語学ができるからと言って必ずしも映像翻訳ができるわけではありません。
また、他分野の翻訳のエキスパートだとしても、映像翻訳家になれるわけではありません。
映像翻訳には、他の翻訳と異なる点が多々あるからです。
他の翻訳とは何が違うの? ~3つの制約~
映像翻訳には、文芸やビジネスといった他分野の翻訳と違い、独自の3つの制約があります。
1文字数制限
映像翻訳の場合、まず映像の邪魔にならないことが第一義。字幕の文字数が多すぎると、本来の映像を観る余裕がなくなるため、字幕の文字数は一般的に1秒間に3~4文字と定められています。
吹替の場合は、オリジナルの俳優の口の動きに合わせなければなりません。
俳優のセリフのテンポを考慮しながら言葉を選ぶ必要があります。
ちなみに1秒で話せる量は、 ”Hello, I’m Jack.”(こんにちは、僕はジャックです)程度。
これを字幕では4文字、吹替では6文字程度に置き換えなければなりません。
2特殊なルール
字幕では基本的に句読点を使いません。映像鑑賞を妨げないように、最低限の文字以外は避けるというルールがあります。
記号も邪魔になるのであまり使いません。
文を区切るには、半角スペースや全角スペースで対応します。
つまり文字とスペースのバランスだけで、すっきりと読みやすい文章を構築する必要があるのです。
吹替の場合は聞き取りやすい言葉を選びます。
同音異義語(家庭:仮定:課程など)や熟語などは誤解を招くことがあるので耳で聞いて瞬間的に理解できる言葉に言い換えなければなりません。
また、当然のことながら字幕でも吹替でも放送不適当用語(差別語や商品名)は使用できません。
これらのルールに基づいて使える言葉が制限されるため、訳語選びが難しいものとなるのです。
3訳注がない
私たちは文芸や映像など海外のエンタテインメントに触れることで、手軽にその国の文化や風俗、特有の言い回しを知ることができます。
しかし、日本で一般的でない慣習や風俗を日本語に置き換える作業は非常に困難です。
セリフを忠実に訳しただけでは、土台となる文化を知らない視聴者には伝わらないからです。
文芸翻訳の場合は見慣れない言葉に訳注をつけ、説明を加えることができますが、映像の場合にはそれができないので、一言でわかるように表現する必要があります。
例を挙げましょう。最近でこそ日本でも定着してきた言葉ですが、「ハロウィン」「トリック・オア・トリート」を日本語で表現するとしたら、どのように訳しますか?
そこにさらに文字数制限が加わったら…?そして、使えない言葉や聞き取りづらい言葉も避けねばならないとしたら…?
映像翻訳は、
ただヨコのものをタテにするだけの仕事ではありません。
原語の意味を正しく捉えるのはファーストステップに過ぎず、言外の意味やニュアンスをもくみ取り、日本語で的確に表現するという段階を経て初めて完成します。
つまり仕上げのポイントとなるのは読解力と日本語表現力です。
映像翻訳者を目指す方は多くいますが、残念ながら日本語力の大切さを認識している方はそれほど多くありません。
新人翻訳者の作品によく見られるのが、原語と照らし合わせると正しい訳だけれど、日本語だけでは意味がよく分からないという直訳的な表現。
原語を意識しすぎるあまり、前後の流れを考えない訳文になってしまっているのです。
トライアルの不合格者に多いのですが、そういう方に限って語学力が優れているので、なんとももったいないことです。
原語に忠実なだけの表面的な翻訳ではなく、セリフの意味を正確に理解した上で、その裏にあるニュアンスをくみ取り、オンリーワンの言葉を探さなければなりません。
そもそも翻訳とは、英語(原語)の分からない人に意味を伝えるためのツールですから何よりも「伝えること」が優先されるべきです。
どんなに正しい訳文だったとしても、日本語しか分からない第三者に伝わらなければ何の意味もありません。
映像翻訳に本当に必要なスキルを養う「マルチリンガル映像翻訳者養成講座」
英語を教えてくれる学校は、翻訳専門校以外にも英会話学校などたくさんあり、留学経験のある方も増えてきました。
映画を英語で観て意味の分かる方は多いでしょうが、その「語学力」と、「原語の意味を誰かに伝えることができる能力」は、まったく別のものです。
当社の「マルチリンガル映像翻訳者養成講座」は、日本語力に重点を置いた画期的なプログラムで、短期間・低価格でのスキル習得を可能にしました。
翻訳術だけでなく、作業スピードアップのコツや正しい用語の使い方など、本当に製作現場で必要な知識だけを過不足なく凝縮して提供する、まさに実践的な講座です。
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(※その際のトライアル受験料、登録手数料などは一切必要ありません)
- すでに映像翻訳の知識は持っているけれど、なかなかトライアルに受からない…
- 学校に長く通っているのにデビューのチャンスがつかめない…
- たまに仕事の依頼は受けるが、コンスタントに受注できない…
- 自分の字幕がよくないのは分かっているが、どこをどう直せばいいのか分からない…
グローバル化、多言語(マルチリンガル)化が進み、アジアやヨーロッパなど世界各国の映像は年々増加し、映像翻訳者の需要も増えています。
しかし英語・韓国語以外の映像翻訳者はまだまだ少ないのが現状です。現在はやむを得ず英訳台本を使って翻訳することもあるようですが、それでは制作国独自のカルチャーが存分に伝えきれません。
その国の言葉が分かる翻訳者が訳したほうがよりよい作品になるはずです。
当講座では映像翻訳の基礎から日本語で学べるので、多言語の語学力がある方が多数受講され、映像翻訳者としてデビューを遂げています。
注:あくまで弊社スタッフの育成を目的とした講座ですので、登録が不可能な方は受講をご遠慮ください。